金融氷河期 2012 2 12

 デフレの時代に、現金は王様となり、借金は負担となる。
家計も企業も借金の返済に夢中となる一方で、
現金は退蔵され、市場には出回らない。
 多くの人は、こうした法則を理解していなくても、
結果的に、そういう行動をとるでしょう。
 2012年2月12日の日本経済新聞Web版には、このような記事がありました。
「増える現預金、日米欧で2500兆円超 家計の安全志向加速」
 日米欧で家計などマネーの安全志向が強まっている。
リーマン・ショックや欧州債務問題など、
国際的な金融不安が続くなかで、
家計を中心に株式などリスク資産の購入を手控える一方、
銀行などへの預金が増加。
 日米欧の現金と預金の残高は日本円に換算すると、
昨年9月末で2500兆円と過去最大規模になった。
 日米欧の各中央銀行がまとめた統計で、
家計と企業の現預金を現在の為替レートで試算すると、
日本が1030兆円、米国が750兆円、ユーロ圏が740兆円。
(中略)
 一方、預金は増えても貸し出しは、あまり増えていない。
日本の金融機関の昨年10〜12月の貸し出しは前年比0.2%の伸びにとどまっている。
日本だけでなく、欧州でもドイツを中心に貸し出しが伸び悩んでいる。
 マネーが投資に回らなければ
「デフレを招き、経済成長が抑えられる」と
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは指摘する。
(以上、引用)
 参考までに、付け加えるとすれば、
日本においては、バブル崩壊後、
銀行が、BIS規制の基準をクリアするために、
ひたすら「貸し渋りと貸しはがし」を行っていました。
 地球は、金融的には、氷河期に入りそうですが、
気候的にも、ミニ氷河期に入っていくかもしれません。

BIS規制の緩和 2012 2 11
 また、日本のバブル時代の話をしましょう。
この時代は、世界の銀行ランキングの上位に、
日本の銀行が数多くランキングされ、
まるで国内ランキングかと思うほどでした。
 それほど絶好調だった日本の銀行にも、
やがて、陰りが生じるのです。
 それが、BIS規制の導入だったのです。
BIS規制とは、国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する、
国際統一基準は、8%以上とするものでした。
 つまり、自己資本比率8%以上を達成できない銀行は、
事実上、国際業務から撤退せざるを得ないことになるのです。
 あの当時、日本の銀行も、
積極的に国内融資を行うとともに、海外融資も行っていました。
しかし、自己資本比率は低いものでした。
 そのため、BIS規制の導入は、
絶好調だった日本の銀行つぶし(銀行叩き)ではないかと言われました。
 しかし、こうした懸念に対して、国内では楽観論がありました。
右肩上がりの地価と株価、融資先の企業は絶好調。
「これなら、BIS規制の導入されても、痛くも痒くもない」という楽観論でした。
 しかし、バブルが崩壊したら、どうなったか。
日本の銀行は、BIS規制の基準を維持するために、「多忙」となりました。
「貸し渋り」どころか、「貸しはがし」まで横行し、
これが、日本の不景気に、一層の拍車をかけたのです。
このような銀行の行動は、後に、「失われた10年」の原因のひとつとなりました。
 さて、最近、バブルが崩壊した欧州は、どうなったでしょうか。
不動産バブルというと、アメリカを連想しますが、
実は、欧州の方が、アメリカよりも不動産バブルが大きかったのです。
 さらに、投資銀行というと、アメリカを連想しますが、
実は、欧州の金融機関も、積極的に投資銀行業務を行っていたのです。
 今は、欧州版の「失われた10年」の2年目か、3年目でしょうか。
あるいは、これから「失われた10年」に入るのでしょうか。
 BIS規制があっても、
リーマン・ショックに代表される国際金融危機は防げなかった。
BISに存在意義はないでしょう。




































































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